父さん、僕は父さんに謝らなきゃいけないことがあります。
僕は父さんとの約束を破ってしまいました。
父さんが癌との闘病中、僕に言ってくれましたね。
「体だけは大事にしろよ」って。
僕、約束を破ってしまいました。
父さんが逝ったあの後、僕は脳出血を患ってしまい、今では精神
病院に
入院する体になってしまいました。
この約束、いつかは破るときが来ることは分かっていましたが、こんなに早く・・・
父さん、ごめんなさい。
病棟には父さんと同じくらいの年格好の患者さんがいます。父さんと同じように
病気と闘っています。
父さんの年代の人達は凄いですね。鍛え方が違うというか・・・弱音を吐きません。あくまで闘い抜こうとしているようです。
父さんも、最期までそうでしたね。
僕にはとても真似が出来ません。主治医の先生も「真似しろ」なんて言いません。むしろ、「真似するな」と言います。
この病気、なかなか体から離れてくれないようなんです。だから、「闘うな」と、先生は言います。
父さんに言わせれば「軟弱者の考え方だ」と叱られそうですが・・・
でも、僕は決めました。「病気と仲良くして、病気が嫌がることをしない」と決めました。
僕も決めたからには実行します。父さん譲りの頑固さでね。
父さん・・・父さんの所へ行ってしまおうと、馬鹿なことを考えたこともありました。それこそ「軟弱者」になりそうなこともありました。
でも、こんなことで父さんのところへ行ったら叱られそうで・・・やめました。
父さん。僕は生き恥を晒しているのかもしれません。たぶん、そうです。
だけど、父さんに会えるのはずっと先になりそうです。
最近、父さんを思い出す度に、僕はしたたかに
生きる覚悟ができたように思えるのです。