右手を眺めて

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私は、脳出血の後遺症で右半身不随となり、後にうつ病に陥ってしまった自分の手記を綴り始めた。半身不随とうつ病に向き合うために。 身体障害と精神病。これらを正面から向き合って理解すること。これは私にとって過酷な作業であり、また時には残酷な作業でもある。

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13話

入院してから三ヶ月が過ぎちまった。予定じゃもう退院してる頃だで。
どうもオラァの場合、治りが遅せぇみてぇだ。先生も不思議がってた。薬のさじ加減ってのか?それに手を焼いてるみてぇだ。
「どうですか、以前より症状は変わりましたか?」
「はぁ、咽の詰まりはまだあるっすけど、泣くようなことはなくなったっす」
「なるほど、他には?」
「イライラして落ち着かなくて頓服をもらったり・・・」
「落ち着かなくなるのはどんな時ですか?」
「えっと・・・夕方とか・・・」
「考え事をすると落ち着かなくなるとか?」
「そっすね、仕事のことや退院してからのことぉ考えるとだめっす」
「そうですか・・・先日、奥様との面会で色々お話を伺わせて頂きました。お仕事、大変だったんですね」
「いえ・・・工場勤めが始めてなもんで・・・」
「それも大変でしょうけど、脳出血になる前の話ですよ」
「・・・?」
「会社で農場にいらっしゃったとか・・・体力的にも精神的にも大変なお仕事だったとか・・・」
「いや・・・それほどでも・・・」
「そうですか?私は今回の一連の発症は貴方の仕事に対する考え方も一つの原因になってると思うんです。例えばうつ病に関していえば、貴方の『仕事を完璧にやり遂げなければならない』という考え方が原因になっていることは確かです。変な言い方をすれば、『仕事なんか自分がやらなくてもどうにかなるさ』と考えられる人はうつ病にはならないものです」
「・・・・・」
「脳出血にしても、貴方の歳で発症するということは相当な負担が体にも精神にもかかっていたんじゃないでしょうか?もちろん高血圧症も原因の一つですが、体力的精神的な負担が拍車をかけた、と私は考えています」
「・・・・・」
「脳出血の時は退院した次の日から働き始めたそうじゃないですか。どう考えても無茶ですよ。どうですか?もう少しリラックスしてみませんか?」
「・・・・・」

オラァ、ガキん頃から教わってきただよ。やんなきゃいけねぇ事は手ぇ抜かねえでやんなきゃいけねぇって。人様より多く働いてそれを威張っちゃいけねぇってな。
爺ちゃんとの約束だもの、オラァそれを守ってきただけだだよ。
体ぁ泣き始めても黙って土ぃ見つめて、嫌んなっちまっても黙って空ぁ眺めて、そうやって働いてきただけだだよ。
だって、爺ちゃんとの約束だもの・・・

「退院は少し長引きそうですが、退院後も自宅療養ができるようにと奥様にお伝えしてあります。心も体も、もう少し休まれたほうがいいと思いますよ」
「やだ。爺ちゃんの約束は破れねぇ」・・・って言いたかったでなぁ。
posted by たけぱん | Comment(2) | TrackBack(0) | 手記
この記事へのコメント
こんにちは。
今日は雨なので、海には行かず家で仕事してます。
1才の娘とブログ見ながらですが・・・(^^)。
娘に邪魔されながら・・・(><)
また、娘がいない時にゆっくり見させていただきます。
Posted by ★KEEP BLUE★ at 2009年04月25日 12:44
★KEEP BLUE★ さん、こんにちは。
娘さん、かわいいんでしょうねぇ。
子育ての合間にまた寄ってけやなぁ(^^
Posted by たけぱん at 2009年04月25日 16:25
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