右手を眺めて

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私は、脳出血の後遺症で右半身不随となり、後にうつ病に陥ってしまった自分の手記を綴り始めた。半身不随とうつ病に向き合うために。 身体障害と精神病。これらを正面から向き合って理解すること。これは私にとって過酷な作業であり、また時には残酷な作業でもある。

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15話

ぼぉっと覚ました目に映ったのは白い天井に丸い穴。
・・あんだ?こりゃ・・
確認できないまま浅い眠りにつく。

・・たけっ、夕方の便に間に合わせるだぞっ・・
・・はいっ、360を6000っすね・・
・・何度も聞くなボケッ。息しねぇで手ぇ動かせっ・・
・・たけちゃん、印字がずれてきたよっ・・・
・・はいっ、すんませんっ・・
・・バカヤロッ、二度手間させんじゃねえっ・・
・・はいっ、すんませんっ・・
製品にシールが貼られる音。シールに賞味期限を印字する音。
ダンボール箱がこすれる音。コンベアが無表情に回り続ける音。
だんだんと遠くなる音たち・・・

薄っすらと目が開く。白い天井に丸い穴。
・・あぁ、スプリンクラーかぁ・・
と思う間もなく頭がぼぉっとしてくる。

・・おらぁ、あにやってるだぁ。追いついちまうどぉ・・
・・はいぃっ・・
・・おめぇら頭っ数っきりで二反歩も切れねぇだかっ・・
・・はいぃっ・・
・・あんだぁこの切り方っ・・
キャベツっきゃ見えねぇ、キャベツを切る音っきゃ聞こえねぇ。
後ろから箱詰めしてくる先輩の怒鳴り声。
先輩が投げつける切り損じたキャベツが背中にどすんっと当たる。
キャベツを切る音と自分の荒い息がだんだん遠くなる・・・

「朝食の用意ができましたので食堂へお集まりください」
遠くでスピーカーの声。妙に清々しい。
・・あぁ、もう飯かぁ・・食いたくねぇなぁ・・
ベッドを仕切っているカーテンを開け食堂へ向かうスリッパの音が一つ、二つ、三つ・・・
頭が枕へめり込む。掛け布団が重い。
こんな日は一日中だめだ。うずくまって、手負いの獣になるしかねぇ。

右腕が疼く・・・
posted by たけぱん | Comment(0) | TrackBack(0) | 手記
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