右手を眺めて

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私は、脳出血の後遺症で右半身不随となり、後にうつ病に陥ってしまった自分の手記を綴り始めた。半身不随とうつ病に向き合うために。 身体障害と精神病。これらを正面から向き合って理解すること。これは私にとって過酷な作業であり、また時には残酷な作業でもある。

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22話

ずっと「うつ」が続いてた。
一週間・・・いや、二週間。
一日中寝てる日が多くなった。

「先生、こんなんで治るんだろうか?」
「治りますよ」
「・・・薬、飲んでもあんまり・・・」
「今は波の谷間です。以前の谷間よりは快方に向かってますよ」
「オラァ、辛くて・・・」
「なるほど、何が辛いんですか?」
「・・・なんもかも・・・」
「斉藤さん、貴方の右手は辛く感じますか?」
「・・・」
「右手をどう感じますか?」
「右手は・・・やだ。上手く動かねぇし・・・」
「なるほど。それも辛い原因になってませんか?」
「いや、こりゃぁもう仕方がねぇって解ってますから」
「そうですね、仕方がない事ですよね」
「はい」
「ではその右手、もう馴染みましたか?」
「・・・馴染むっちゃ馴染んだし・・・もちょっとっても思うし・・・」
「そうですか。なるほどね・・・」
「・・・」
「・・・斉藤さん、僕の治療を手伝ってもらえませんか?」
「???」
「斉藤さんの病気には二つの原因があるようです。まずは脳にダメージを受けたことによる脳内分泌の異常。次は脳にダメージを受けたことによって失われた機能への悲しみ。どうですか?二番目の原因に思い当たることはありませんか?」
「いや、こりゃぁもう仕方がねぇってことは頭じゃ解ってるだけど、リハビリで無理に動かす時、吐き気がすることがあるんす」
「そうですか・・・二番目の原因ですね」
「・・・でも、解ってるんすよ」
「はい、解っていてもどこかで悲しんでるんです。馴染んでいないんですよ」
「・・・」
「斉藤さん、うつ病に対する投薬治療は私の責任でやらせてもらいます。でも、二番目の原因は貴方しか治せません。もちろん私もお手伝いはさせていただきますが、貴方にもお手伝いしていただきたいんです」
「・・・どうすりゃ・・・」
「貴方の悲しみを受け止めて、その悲しみを乗り越えるんです」
「・・・はぁ・・・」
「すぐとは言いません。少しずつ、二人で治していきましょう」

オラァのどこかにある悲しみを見つけて、受け止めて、乗り越える・・・か。
先生も難しいことぉ言いやがるで。
posted by たけぱん | Comment(0) | TrackBack(0) | 手記
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